松田知子皮膚科のあざ・しみ治療について

一言であざ・しみと云っても、様々な種類があります。
一人の患者様が複数の色素性疾患を合併されている場合も多く、正確な診断が重要です。
患者様のライフスタイルによって、ダウンタイム、費用、治療までの時間など、ご希望を伺いながら、最適な治療を心がけています。

最新の治療法や機器を導入し、日々進化していますので、今まであきらめていた患者様も是非御相談下さい。

あざとは?しみとは?
(基本になります。是非ご一読下さい)

あざとしみの違いを一口でいうとメラノサイト(メラニンを作る細胞)の違いです。
メラニンを作る細胞(メラノサイト)には2種類あり、メラノサイトの種類によって治療法が大きく違ってきます。

2種類のメラノサイトとは表皮基底層にあるものと、真皮の中にあるものです。
表皮のメラノサイトは正常の細胞で誰でも持っています。白人も黒人も数は同じだと言われています。このメラノサイト内のメラニンは色が付いていなくて、メラノサイトから放出されてから黒くなってきます。これが所謂しみといわれているものです。

レーザーは色に反応するので、表皮性のしみにレーザーをあてると、メラニンが破壊されて一瞬きれいな皮膚が現れますが、メラノサイトは破壊されず(もし、破壊されたら白くぬけてしまう)、メラノサイトを レーザーの熱エレルギーが刺激してしまうので、メラニンを大量に作ってしまいます。これが所謂レーザー焼です。

一方、真皮メラノサイトは誰にでも何処にでも有る訳ではなく、存在自体が異常な細胞なのです。
今のようなレーザーが開発されるまでは皮膚を傷つけないで治療するのが困難でしたが、黒い色だけに反応するレーザーの発明でドラマチックに改善することが出来るようになりました。メラノサイトの中にメラニンを沢山詰め込んでいるので、 メラニンを破壊することによってメラノサイトごと破壊できるのです。

表皮のメラノサイトによるシミのほうが治療が難しいと思われていましたが、トレチノインという新しい治療法の出現で、今まで難しかった表皮のメラニンの増加による肝斑や炎症誤色素沈着の治療が可能になりました。

只、トレチノインは通販などでも手に入り、付けるだけで簡単と思われている方も多いのですが、自己流でむしろ悪化されて来院される患者様がおられます。色々コツがありますので、是非、松田知子皮膚科の東大式トレチノイン療法をお試し下さい。

また、レーザ-治療時に一定の確率で避けられないレーザ-焼けも早く落とせます。

トレチノインは塗り薬ですが、トレチノインはターンオーバーを正常よりも早くする治療法ですので、多少のダウンタイム(赤くなったり、化粧乗りが悪くなったり…)を伴います。それもちょっととおっしゃる方には、ハイドラフェイシャルによるピーリングでターンオーバーを正常に戻して、美白剤を塗布するメニューも導入致しました。

一般に浅いものは茶色で深くなる程灰色から青みがかってくるといわれていますが、アザやシミに詳しい専門医でないと、診断が難しいこともあるので、是非御相談下さい。

まずは、しみがどちらのメラノサイトの異常なのかという見極めが最も大切です。

また、しみやくまと思われているものの中には遅発性太田母班様色素斑後天性真皮メラノサイトーシスといったものが非常に多く含まれています。これは、以前は太田母斑Ⅳ型対称型といわれていたものですが、真皮のなかにメラニンを作る細胞が異常に存在するもので、この真皮メラノサイトをピコレーザ-で破壊すると治ります。
この場合にも最大の問題はレーザー焼でしたが、トレチノインを併用すると照射回数が半分位、期間が3分の1位に短縮できます。

いずれも診断が重要です。一度、是非御相談下さい。

あざとしみの種類

あざとしみの種類

具体的なあざとしみについて説明します。

2つ以上のしみやあざが混在していることもあるので、診断が難しいことも多いため、是非一度、あざ・しみに詳しい医師に御相談下さい。

美容皮膚科を標榜していなくても、詳しい皮膚科医もいますので、納得がいかない時はセカンドオピニオンを取る事をお奨めします。

あざとしみの種類と治療

  • 1.老人性色素斑(日光黒子)
  • 2.花弁状色素斑
  • 3.脂漏性角化症
  • 4.肝斑
  • 5.雀卵斑(そばかす)
  • 6.炎症後色素沈着
  • 7.偏平母班
  • 8.色素性母班
  • 9.黒子
  • 10.太田母班
  • 11.異所性蒙古斑
  • 12.後天性真皮メラノサイトーシス

老人性色素斑(日光黒子)

  • 顔や四肢に現れる、境界のはっきりした茶色のしみ。こめかみにでることも多い。
  • 思春期までに紫外線をたっぷり浴びた方は20歳代から出始める。
    男性にも多く、芸能人や政治家では治療をしている人も多い。老斑ともいわれるので、なくなると若返る。
  • メラニンの量が増えているというよりも、メラノサイトを含む基底層が何層にもなっている。
  • トレチノインでもピコレーザーでも効く。

ピコレーザー

ピコセコンドレーザーによる治療では光エネルギーを超短時間(500ピコ秒未満)に肌に伝達することで安全で確実な効果が期待できます。
ギガワット単位の強いパワーのレーザー照射で シミやくすみの原因のメラニン色素や取れにくい刺青色素を細かく粉砕することが可能になりました。従って、薄いシミやくすみを取ったり、刺青が傷跡もなくほとんど目立たなくさせるのに有効です。

お肌に光が当たっている時間が極めて短く、主にパチッとした衝撃波による効果であるため、痛みも軽度で、熱による火傷などが起こりにくいのが特徴です。

起ってしまったレーザー焼はトレチノイン療法をすることも出来ます。
費用は大きさに比例します(直径1cmで1万円程度)。
手足のものにはファーストチョイスです。体の方が一皮剥けるまでに時間がかかります。


トレチノイン

皮膚が剥けて、赤くなりますが、その間もお化粧はできます。

治療期間は2ヶ月~3ヶ月程、費用は数にかかわらず、10万程度です。
福岡のような地方都市では、一般の方が美容に関心を持ち出したのは最近のことです。関心はあっても治療方法や治療する施設の情報が少ないのかもしれませんが、新旧、大小、濃淡様々なしみが顔中にあるかたも受診されます。

また、白内障の手術を受けた後に、ご自分の顔のしみが突然みえるようになってショックを受けられて悩んでいらっしゃるかたも多い。

永年かかって作られたしみは、 1年くらいかかりますが、すべてのしみがなくなった時にはしわも改善されて、なめらかな皮膚をとりもどして、10歳くらい若返ることが珍しくありません。


レーザーフェイシャル、ルメッカ

1~2週間のダウンタイムはありますが、ガーゼで保護する必要がなく、お化粧でカバーすることが可能です。1ヶ月以上の間隔を空けて、複数回の治療が必要です。皮膚の若返り効果の一環としてしみを薄くしていきます。

効果には個人差がありますが、ダウンタイムや、リスクが少ないのが特徴です。初期の場合はすっきりきれいにとれることもあります。。


花弁状色素斑

老人性色素斑のうち、主に上半身に出来る、花びら状の茶色いしみをこう呼びます。
若い時にしっかり、日光にあたった人に多い。


トレチノイン

背中にある場合は、自分でぬれないので、家族の協力が必要。
朝も塗布しなければいけないので、早起きも必要。
強い意志がいるが、範囲がひろい場合でも費用はあまり変らない。


ピコレーザー

衣類で被われているので、かさぶたになっても他人には気ずかれない。遮光も神経質にならなくて良い。意外に広範囲におよぶことが多いので、思ったより費用がかかるのが難点ですが、それさえクリアできればファーストチョイスです。


脂漏性角化症

主に顔面の境界鮮明なやや盛り上がりのある茶色~黒のしみ。老人性角化症とも呼ばれます。
液体窒素による冷凍凝固術やCO2レーザーによる削除術が一般的。

盛り上がりがひどい物や、固い場合は切除縫合が良い場合もあります。

体に多発した場合は消化管ポーリープが多発している場合も有ります(レーザートレラー症候群)

体の場合はCO2レーザーによる削除術は傷が治りにくいので、冷凍凝固術になりますが、小さいものはイボよりも大きな炎症後色素沈着が出来てしまうので、見かけが治療前よりも悪くなってしまうことがあります。見かけを気にされるかたはクライオペンによる治療をおすすめします。

初期で赤みやかゆみがあるものは、塗り薬が有効なこともあります。

以上の治療で色素斑のみが残ったものは老人性色素斑炎症後色素斑と同様の治療になります。



肝斑

頬部を中心の左右対称の境界鮮明な淡褐色から暗褐色の地図状色素斑。肝疾患との関係は無い。
妊娠、ピル内服によって増強し、老齢になると自然消褪することもあるので、ホルモンとの関係が論議されている。


トランサミン

飲み薬です。市販のトランシーノと同じものです。まず、1ヶ月は続けて飲んでみましょう。効果があるようなら続けることになりますが、血液が固まり易くなるので、2ヶ月内服したら1ヶ月お休みして下さい。特に、ホルモン充填療法をされているかたは、注意が必要です。


トレチノイン

医療レベルの治療として、肝斑の治療のファーストチョイスになりつつあります。
過って、レーザ-治療をして濃くなってしまったものにも効果的。1クールでお化粧で隠れるようになり、2クールで素顔に自身がもてます。しみが一時的に浮き上がってこく感じる時期のある方もありますが、よくとれます。
エステや化粧品でとれなかったとか、他の治療法で失敗したかたは是非お試しください。特にIPLやケミカルピーリングでとれなかった方は非常に良く効きます。IPLやケミカルピーリングにかけたお金も無駄ではありません。IPLやケミカルピーリングが前処置の役目をするからではないかと思っています。


化粧品

ハイドロキノン、ルミイシル、高濃度VC外用 VC、VE内服などのコンビネーション。トランサミン廃合のクリームもご用意しています。
VCやトラネキム酸をイオン導入すると効果的です。
時間がかかりますが、ダウンタイム(かさぶたになったり、赤くなったり、剥けたりする期間)がありません。

いずれの場合も遮光が大切です。


雀卵斑(そばかす)

ソバカスは色白のヒトに多いといわれています。
チャームポイントとして、特に治療の必要はないと思いますが、最近は治療を希望される方も多くなっています。ソバカスはシミと違って、小さな斑点の集まりです。また表皮だけでなく、真皮のなかにもメラニンがあります。


ルメッカ

ルメッカは、細かいシミに良く効きますので、雀卵斑でお悩みの方にも適応です。
反応したシミは、一旦濃くなり浮いてきますが、1~2週間で徐々に自然と剥がれていきます。ダウンタイム中はガーゼで保護する必要がなく、お化粧でカバーすることが可能です。1ヶ月以上の間隔を空けて、複数回の治療が必要です。


ピコレーザー

ピコレーザーを小さく絞って、ソバカスの小さな斑点を1つずつ退治していきます。
ソバカスの種類によっては、1~2か月様子を見た上で、同じ箇所を2~3回治療することもあります。


トレチノイン

しみが一時的に浮き上がってこく感じる時期のある方もありますが、比較的よくとれます。剥けたり赤くなったりすることも少ないので、お勧めの方法です。

炎症後色素沈着

かぶれや熱傷、すりきずの跡がしみになったものです。
時間をかければ何もしなくてもとれるものが殆どです。早く取りたい方、半年以上たって、表皮の変化が全くないもの(触った感触が正常と同じ)は、治療によらなければとれることは難しいでしょう。


トレチノイン

非常に有効です。
ピコレーザーでおこってしまったもの(レーザーやけ)を早く落としたい時も大丈夫です。

注意1

まだ、炎症があるうちは炎症を治してから、始めます。炎症が残っているとしみ治療がかえってマイナスになることもあります。
色素沈着のみなのか、かぶれが残っているのかの見極めが大切です。
しみ治療は患者さんが治療法を選ぶのが基本ですが、しみなのか、炎症なのかの見極めは皮膚科医のほうが得意分野です。アトピー性皮膚炎でも、例えばダ-ティ-スキンのような場合は使えることもありますので、御相談ください。

注意2

しみ治療は紫外線をさけることが大切ですが、特に、炎症後色素沈着では遮光が重要です。

注意3

なにもしなくても時期によっては、時間がたてば薄くなることも多いもの。間違ったお手入れでよけいにひどくなることが多いのも特徴です。治療の有無にかかわらず、専門医に相談しましょう。


偏平母班

薄茶色から茶色のあざ。 毛がはえているものもある。


ピコレーザー

やってみる価値はあると思います。 小児では30%、大人は20%位ですが効果のある方があります。 必ず、試験照射を行ってから、本番の照射をします。 残念ながら、術前に効果を予想することは難しいです。


トレチノイン

顔なら、やってみる価値はあると思います。 子供のほうが効果があります。


色素性母班

基本的には、小さいものはCO2レーザー。
大きなものは切除のほうが仕上がりがきれいだと思います。診察時に大きさ、盛り上がり、部位などを考慮して治療法を決定します。

盛り上がっていないもの、切除できない程大きいものはピコレーザーで治療します。
強くあてると瘢痕になることがありますので何回かの照射が必要なります。
有毛性や色の濃い物は悪性黒色腫との鑑別が必要なこともありますので、専門医の診察が大切です。


黒子(ほくろ)

私達、皮膚科医が黒子と呼んでいるのは、単純性黒子といって、表皮のメラニン色素の増加とメラノサイトの増殖です。
薄いものはピコレーザ-を軽くあてるとれます。また、濃くて小さなものはCO2レーザーでとれます。
が、いずれも強く当てすぎると傷になりやすく、弱すぎると再発します。

ただ、一般的には小型の母班細胞母班や青色母班も黒子と呼ぶので、盛り上がったものはや青い色調のものは、切除できるものは切除した方がしたほうがきれいなこともあります。


太田母班

眼を中心にした青いあざ。眼球や軟口蓋の色素斑を伴うことが多い。

ピコレーザーが最も得意とする母班

色素が皮膚の浅層から、深層にわたって広く分布しているので、まず、浅い層から 色素を取り除き、徐々に、順を追って深い層の色素を取り除いていくほうが、最終的に良い結果が得られます。
そのため、最初の2、3回照射後は深い層の色素が透けてみえるのと、炎症後色素沈着がおこるので、濃くなったようにみえることがありますが、心配ありません。

また、保険が3ヶ月に1連の照射しか認めていないため、泣く泣く、3ヶ月待って照射すると誤解している方もありますが、炎症後の色素沈着がおさまるのに、最低でも3ヶ月はかかります。

場合によっては、それ以上待ってでも、しっかり炎症後色素沈着を落としてからのほうが、良い結果が得られます。また、照射後、1週間程度はガーゼが必要ですから、生活のリズムに合わせて、プログラムを組むことも可能です。

例えば、

  • 年1回夏休みの度に照射しても全く問題ありません。
  • 数回から10回程度の照射が必要です。

以上の点を理解して治療に取り組めば、必ず、良い結果が得られます。

ピコレーザーが実用化されたのは10年位前、保健適応になったのが数年前です。

中年になって治療を始める方も大勢いらっしゃいます。30歳を過ぎると表皮性のしみを合併しているかたが殆どです。まずトレチノインで表皮のしみを落としてから、レーザーを照射すると炎症後の色素沈着をあまりおこさずに治療出来ますので、レーザー焼が気になって治療を躊躇されているかたは是非御相談下さい。


治療をうけた患者さんが写真入りでホームページを開設していらっしゃいます。是非、参考にして下さい。

CHOKOSAN HP


異所性蒙古斑

生まれた時からある青いあざ。
蒙古斑(おしりの青いあざ)が消えるころになっても残っているものをいう。


ピコレーザー

数回の照射が必要になります。


後天性真皮メラノサイトーシス

後天性両側性太田母班様色素斑(堀)、遅発性両側性メラノーシスともいいます。太田母班のように青くみえるものを後天性両側性太田母班様色素斑と、肝斑のような薄茶色にみえるものを遅発性両側性メラノーシスと呼ぶ傾向があるようです。組織学的には同じものです。
日本人には比較的多いものです。放置しても問題はありません。

太田母斑との違いは眼球(太田母班に合併しない眼球の色素斑もあるが…)や口蓋に色素斑が無い。家族内発生があげられます。
なんらかのしみ治療中に濃くなってしまったものは後天性真皮メラノサイトーシスの可能性があります。


トレチノインとピコレーザーの併用

太田母斑同様、真皮メラノサイトがこのしみの本質です。
ピコレーザが必ず必要になります。太田母斑よりメラノサイトが浅いところにあるので、レーザー焼けを起こし易いのが特徴です。そのため、折角治療を始めてもドロップアウトしてしまうかたが多いのが残念です。

トレチノインを行なうことによって、レーザー焼けがさけられるので、是非併用をお勧めします。


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